俳句の作り方 暑しょの俳句
世にも暑にも寡黙をもって抗しけり 安住敦あずみあつし
よにもしょにも かもくをもって こうしけり
暑が夏の季語。
「三夏を通じて暑さはそれぞれだが、梅雨が明け盛夏になって感じる暑さはことに印象的である。」
(俳句歳時記 夏 角川書店編)
世にも暑にも寡黙をもって抗しけり
世にも暑にも寡黙をもって抗しけり
句意を申し上げます。
社会にも暑さにも私は寡黙をもって抗っている。
鑑賞してみましょう。
世間が騒がしいとき、言葉が世に過剰に流れ始めます。
そのざわめきに熱さが重なると世界全体が膨張して見えるのです。
私は膨張の圧力に巻き込まれないよう言葉を減らします。
なぜなら沈黙は自分の輪郭を保ってくれるからです。
「世にも暑にも」と言う並べ方は二つの外側の力があることを示しています。
社会のざわめきと季節の熱。
どちらにも抗うために私が選ぶのは寡黙と言う姿勢です。
声をそぐことでかえって強さが生まれると思うからです。
大袈裟な抵抗ではありません。
ただ余計な声を出さずに静かに座っているだけです。
沈黙によって世間の騒ぎにも暑さにも逆らうのです。
今日の一句は小さな抗いの静かな強さを表現したものです。
世にも暑にも寡黙をもって抗しけり
